2014/01/26

日常

 大抵の人は毎日同じようなリズムの生活を送り、昨日も今日も、明日も明後日も同じ時間に起きて、行くべきところに行ったり、するべき仕事や勉強をします。

それは日本にいるからそうなんだと思いがちで、めくるめく夢のような毎日を送りたくて、海外に行きたいな〜とか夢想しがちなのはきっと私だけではないでしょう。

  それなのに、ワクワクしながら飛行機を降りてホテルに着いて、そこを拠点に動き始めると、なんとそこからまた退屈しきっていた「日常」が始まるのです。



 私はこの数日間、朝7時に起きて最寄りの駅で急ぎ足で8番線に乗り、マドレーヌという駅で12番線に乗り換えます。まるで一年前から同じようにそこを歩いていたかのように。

 それは全く、西荻窪から中央線に乗って、新宿で山手線に乗り換えるのと変わらなく、私はいつものようにボンヤリと立ったり座ったりしているだけです。

 映画の中で見ていたメトロが、写真の中で見ていた街角が、私の日常の中にスコンと入って来て、それが丸ごと私の日常に入ってしまう瞬間の呆気なさにいつも驚きます。そう、どこに居ても私が私である限り、そうそう日常は変わらないんだ、と気がつくのです。




  昔 ロンドンに住んでいた時、お金がなかったのでバスでバイト先に通っていました。家の近くのバスターミナル始発の139番のダブルデッカー、2階の一番前の席で出発を待つのが私の朝でした。

 将来の展望もなく、お金もないし、不安でしょうがなかった毎日。でも139番のバスの大きな窓から広がる、朝のロンドンの街を見ながら、「この景色の中に自分が居られて幸せだ」と毎日思った事を思い出します。


 日常ってそういう事だよな〜と、私はあのバスに乗っていた日々の事を思い出します。